
施工管理という仕事は、外からはなかなか見えません。図面を描くのは設計士、現場で手を動かすのは職人。では、そのあいだにいる人は何をしているのか。応募しようか迷っている人にこそ、まずはこの仕事の中身を知ってほしいと思っています。
施工管理は、設計図を元に職人・現場の全体をまとめる管理業務です。プロジェクトマネジメントに近い仕事だと考えてください。設計士が描いた図面と、職人が実際に動かす現場。この二つのあいだには、どうしても細かなズレが生じることがあります。
例えば、図面では壁の中に配管を通すことになっているのに、現場の梁の位置が想定と違っていた。設計士は現場の細かい寸法まで毎日見ているわけではありません。職人は自分の工種を仕上げるのが仕事です。どちらも悪くありません。それでも、そのままでは工事が止まります。
そこで動くのが施工管理者です。図面の意図を職人に正しく伝え、現場で起きていることを設計士に返します。どちらかに都合の悪いことが起きれば、もう一方も困ってしまう。だから両方の言い分を聞いて、どちらも動きやすい方法を考えておきます。あいだに立つというのは、伝言を運ぶことではありません。二者間で起きそうな食い違いを、起きる前に見つけて埋めておく仕事です。
この立ち位置だからこそ、施工管理者は設計士と職人の両方から信頼される必要があります。設計士の意図を汲み取り、職人の現場感覚も尊重する。どちらかに偏れば、現場はぎくしゃくします。普段から職人さんとの関係を大切にしているのは、いざ食い違いが起きたときに、率直に相談できる間柄でいたいからです。
一つの現場には、工程に応じていくつもの職人や業者が入れ替わりで入ってきます。電気、設備、内装、塗装。工程が重ならないように調整し、必要な材料や図面を揃え、職人が作業しやすい状態をつくるのが、施工管理者の一日です。
着工後の現場は、安全・工程・品質・原価の4本柱(4大管理)で動いています。この四つを同時に見ながら、現場をさばいていきます。
施工管理でいちばん大事なのは、問題が起きてから対処することではありません。起きる前に気づいて、手を打つことです。
例えば、来週搬入される厨房設備が、今の段取りでは入り口を通らないと気づく。図面どおりに進めると、別の業者の作業とぶつかると分かる。こういうことに早く気づくほど、選べる手が増えます。気づくのが遅れれば、職人を待たせ、工期が押し、費用もかさみます。だから目の前の作業だけでなく、一週間先、一か月先を頭に入れながら今日を動かしています。
週に一度の定例会(現場関係者が集まる定期的な進捗確認の会議)では、設計士や施主、業者と顔を合わせます。ここで見ているのは、まだ決まっていないことです。色をどうするか、納まりをどうするか。曖昧なまま置いておくと、後で必ず工事が止まります。だから一つずつ、いつまでに誰が決めるかをはっきりさせます。地味な作業ですが、これが工期を守るのに一番効いています。
同じ施工管理でも、店舗の現場には住宅とは違う動き方が求められます。
店舗施工では、業態によって求められる管理も大きく変わります。私たちも飲食・物販・ブライダル・医療・商業施設と、5業態以上を元請(発注者から直接請け負う立場)で手がけてきました。受注2,000万円〜6,000万円の主な現場が、年に約30件。飲食なら厨房設備の搬入順、物販なら什器の取り付け精度、医療なら衛生面の納まりと、気をつけるところは現場ごとにまったく変わります。同じ手順を繰り返すだけでは通用しません。
工期が短いのも店舗施工の特徴です。商業施設のなかの区画なら、まわりの店舗が営業しているなかで工事を進めることもあります。決められた時間しか作業できない、大きな音を出せない。そうした制約のなかで、限られた日数で店舗を仕上げます。毎回違う条件で段取りを組み直すため、同じやり方がそのまま通用する現場はありません。そのぶん、一現場終わるごとにできることが増えていきます。
着工から引き渡しまでが短いのも、店舗ならではです。オープン日は決まっていて、動かせません。その日に向けて、検収(工事完了後に施主が仕様通りか確認・承認すること)を終え、手直しを残さず鍵を渡します。決められたゴールから逆算して現場を組み立てる感覚は、住宅の工事とはまた違う緊張感があります。
施工管理は、設計士と職人のどちらでもありません。図面と現場のあいだに立って現場を進行させていく。四つの管理を同時に回しながら、一つの店舗を完成まで運びます。
設計士が描いた図面を、現実の店舗として立ち上げる。その責任を持つ人がいなければ、店舗はできあがりません。職人の腕の差は、管理で吸収します。それが元請の役目だと思っています。派手さはありませんが、街に一軒の店舗が増えていく確かな手応えがあります。
施工管理がどんな仕事か、少しでも輪郭が見えてきたなら、次は現場の空気を覗いてみてください。採用情報のページから、一度お話を聞きに来ていただけたらと思います。
施工管理がどんな仕事か、少しでも興味がわいたら、採用ページから一度ご連絡ください。ご連絡をいただいたら、現場の空気や仕事の進め方をお話しする場をご用意します。まずはお互いを知るところから始めましょう。
Q. 施工管理は具体的に何をするのですか。
見積りから工程表づくり、業者の選定と発注、着工後は安全・工程・品質・原価の4大管理までを束ねます。設計士と職人のあいだに立ち、現場を進行させていく、一つの工事を最初から検収まで運ぶのが仕事です。
Q. 施工管理者と職人はどう違うのですか。
職人は電気や内装など、自分の工種を実際に手を動かして仕上げます。施工管理者は手を動かす人ではなく、複数の職人や業者の段取りを組み、全体が滞りなく進むよう調整する役目です。現場全体に責任を持つ立場と考えてください。
Q. 未経験から独り立ちするまで、どれくらいかかりますか。
個人差はありますが、目安は2年から5年です。はじめは先輩と一緒に現場へ入って流れを覚え、慣れてくると少しずつ自分の現場を任されていきます。図面の知識や段取りの勘は、現場を重ねるなかで身についていきます。
Q. 店舗施工と住宅施工で、施工管理の進め方は違いますか。
違います。店舗施工は工期が短く、オープン日が動かせません。飲食・物販・医療など業態ごとに気をつける点も変わります。営業中の商業施設で、時間や音の制約のなかで進める現場もあり、毎回違う条件で段取りを組み直すところが特徴です。