
私たち株式会社オリジナルは、名古屋で設立から57年、店舗施工を専門に手がけてきました。同じ建築でも、店舗をつくるのと家をつくるのとでは、施工管理(設計図を元に職人や現場をまとめる管理の仕事)の動き方がまったく違います。流れだけ見れば似ていますが、実際に現場を動かしてみると、考えることは大きく異なります。家を建てるのと何がそんなに違うのか、現場の視点でお伝えします。
施工管理という言葉だけ聞くと、店舗も住宅も同じ仕事に見えます。図面があって、職人さんが入って、建物ができあがる。流れだけ見れば、たしかに似ています。
ただ、実際に現場を動かしてみると、気を配るところがまったく違います。家は人が長く住む場所として、じっくり時間をかけて仕上げます。店舗は決められた日に開けるために、限られた時間のなかで仕上げます。ゴールの置き方が違えば、段取りの組み方も、見ておくべきことも変わってきます。
違いがはっきり表れるのは、次の6つです。施工管理に関心がある方が、自分はどちらの現場に向いていそうかを考えるきっかけになればと思います。
住宅の工事は、着工から引き渡しまで数か月かけることが多い仕事です。じっくり積み上げていく時間があります。店舗の現場は、それよりずっと短い期間で仕上げることも珍しくありません。
商業施設のなかの区画なら、数週間で店舗を完成させることもあります。短い期間のなかで複数の職人さんの作業を順番に組み、抜けがないように回していく。時間との向き合い方が、住宅とはまったく違います。
住宅は、間取りや仕様に違いはあっても、人が暮らす場所という点では共通しています。店舗は、業態が変われば現場の中身が大きく変わります。
私たちが元請(発注者から直接請け負う立場)として手がけているのは、飲食・物販・ブライダル・医療・商業施設などさまざまです。飲食なら厨房設備の搬入順、物販なら什器の取り付け精度、医療なら医療機器の納め方。気をつけるところが現場ごとにまるで違います。同じ手順の繰り返しにならないのが、店舗施工の現場です。
店舗と住宅の違いがいちばん表れるのが、締め切りの重さと、現場に関わる人の広がりです。ここは施工管理者が日々もっとも神経を使うところでもあります。
住宅にも引き渡しの期日はあります。ただ、事情によっては施主と相談のうえで調整される場合もあります。店舗のオープン日は、そうはいきません。
チラシは刷られ、求人で集めたスタッフの出勤日も決まり、近隣への挨拶も済んでいる。お客さまを迎える日は、何か月も前から世の中に約束されています。だから工事が間に合わないという選択肢が、そもそもありません。私たちが引き渡しの日に工事を残さない「残工事ゼロ」にこだわってきたのは、この動かせない締め切りと向き合い続けてきたからです。
住宅は、施主であるご家族と設計者、施工側という比較的わかりやすい関係のなかで進みます。店舗の場合は、もっと多くの人が関わります。
店舗をつくる施主は、その店を運営する事業者です。チェーン本部、店舗の設計事務所、施設の管理会社、各種の業者。立場の違う人たちが同じ現場に集まります。
工期が短く、締め切りが動かず、関わる人が多い。その3つが重なる店舗の現場では、住宅とは違う段取りの組み方が求められます。
更地から建てる住宅では、現場は基本的に自分たちの作業場です。店舗の改装やテナント工事では、まわりの店舗が営業しているなかで工事を進めることがよくあります。
作業できる時間が決められている。大きな音を出せない。共用部を資材で塞げない。買い物に来たお客さまの邪魔をしないことが、工事を進めることと同じくらい大事になります。限られた条件のなかで、決められた日数で店舗を仕上げる。この制約と付き合う段取りが、店舗施工ならではの難しさであり、面白さでもあります。
ここまでの5つが重なると、施工管理者に求められる動き方が見えてきます。目の前の作業をこなすだけでは、店舗の現場は回りません。
例えば、来週搬入される厨房設備が、今の段取りでは入り口を通らないと気づくことがあります。図面どおりに進めると、別の業者の作業とぶつかると分かることもあります。こうしたことに早く気づくほど、選べる手が増えます。動かせないオープン日から逆算して、一週間先、一か月先を見すえながら今日を動かす。住宅のようにじっくり積み上げる仕事とは、考え方そのものが違います。決められたゴールから組み立てるこの感覚は、何年やっても慣れることがありません。
店舗施工と住宅施工は、流れこそ似ていても、時間の感覚も、業態も、締め切りの重さも、関わる人も、現場の制約も、求められる段取りも違います。同じ「建てる」でも、求められることがまったく別の仕事です。
毎回違う業態と現場で、動かせないオープン日に向けて段取りを組み直します。住宅のように決まった型を繰り返すのではなく、一軒ごとに条件が変わります。だからこそ、一現場ごとに新しい経験が積めます。私たちが店舗施工を専門にやってきたのは、毎回が新しいというこの手応えに惹かれてきたからだと思います。
家を建てる仕事と、店舗をつくる仕事。どちらが上ということではありません。ただ、毎回違う条件に向き合い、決まった日に仕上げる達成感に惹かれる方とは、一緒に現場をつくれたらと思っています。
私たちは、店舗施工の現場で働いてみたい方と一緒に働きたいと思っています。施工管理の経験がある方も、ものづくりに関心がある方も、まずは一度お話を聞かせてください。仕事の中身や現場の進め方を、実際の現場とあわせてご説明します。
Q. 店舗施工と住宅施工の違いを教えてください。
家は人が長く住む場所として時間をかけて仕上げ、店舗は決められたオープン日に向けて短い日数で仕上げます。店舗は業態ごとに現場の中身が変わり、関わる人も多いため、施工管理者には先回りの段取りがより強く求められます。
Q. 店舗施工の工期はどのくらいですか。
現場の規模によりますが、商業施設のなかの区画なら数週間で仕上げることもあります。住宅より短い日数で複数の職人さんの作業を順番に組む必要があり、ゴールから逆算した段取りが工期を守る鍵になります。
Q. 住宅の施工管理の経験は、店舗施工でも活かせますか。
活かせます。施工管理の基本は共通しているので、住宅で培った経験はそのまま土台になります。ただ、店舗は工期が短く、動かせないオープン日があり、業態ごとに気をつける点が変わります。その違いに慣れるまでは戸惑うこともありますが、現場で一つずつ覚えていけます。
Q. 店舗施工と住宅施工では、どちらが大変ですか。
どちらが上、どちらが大変ということではなく、性質が違う仕事です。店舗は工期が短く、動かせないオープン日があり、業態も毎回変わるので、先回りの段取りが要ります。住宅はじっくり時間をかけて積み上げていきます。どちらにも、その仕事ならではの難しさと面白さがあります。