
施工管理に興味はあるけれど、未経験から本当にやっていけるのか。求人を見ても、現場で何を任されるのかが今ひとつ見えてこない。そう感じて応募をためらう方は少なくありません。外から見えにくい仕事だからこそ、入る前に中身を知ってほしいと思っています。名古屋の店舗施工会社で働くというのが、どういうことなのか。私たちの現場からお伝えします。
施工管理者は、元請(発注者から直接請け負う立場)として、見積りから工程表(現場の進め方を日程で組んだスケジュール表)づくり、業者の手配、着工後の現場管理、検収(仕上がりを施主が確認・承認すること)、引き渡しまでを担います。設計士さんが描いた図面を、職人さんの手で実際の店舗に立ち上げていく。その現場全体に責任を持つのが、施工管理者の仕事です。
名古屋で設立から57年、飲食・物販・ブライダル・医療・商業施設といったさまざまな店舗施工を手がけてきました。住宅のように決まった型があるわけではなく、業態が変われば求められるものも変わります。同じ飲食店舗でも、厨房の仕様や席の配置が変われば段取りも変わってきます。だからこそ、入った人が任される範囲も少しずつ広がっていきます。
最初は先輩について現場に出て、図面の見方や職人さんとのやりとりを横で覚えるところから始まります。聞き慣れない言葉が出てきたら、その場で聞けばいい。わからないまま進めないことのほうを大切にしています。
現場の流れが体に入ってくると、業者への発注や定例会(現場関係者が集まる定期的な進捗確認の会議)の進行を任される場面が増えてきます。独り立ちの目安は個人差がありますが、おおむね2年から5年です。早い人もいれば、じっくり積み上げる人もいます。その人のペースで、自分の現場を任されるようになればいいと考えています。
施工管理は、孤独に責任を背負う仕事だと思われがちです。私たちの現場は、少し違います。
少人数で動いているので、誰がどの現場で何に困っているのか、お互いに見えています。新しく入った人が一人で問題を抱え込んでしまわないよう、先輩が早めに気づいて手を差し伸べます。困ったときに声をかけられる距離の近さが、入って間もない人の続けやすさにつながっているのだと思います。
立場に関係なく相談しやすく、わからないことはその場で聞けます。建設業にありがちな怖い雰囲気もありません。社員の中には、もともと人と話すのが得意ではなかったという人もいます。それでも続けてこられたのは、本人の頑張りだけでなく、まわりが自然に支える環境があったからだと思います。
現場が落ち着いて働ける場であるためには、一緒に動く業者選びも欠かせません。私たちは、協力し合える相手と長く組むことを大切にしています。社員が安心して働ける現場をつくることも、施工管理者の役割だと考えています。
施工管理は、設計士さんと職人さんのあいだに立って、人と人をつなぐのが仕事の中心です。指示を待つよりも、自分から動いて先のことに目を配れる人が現場になじんでいきます。
長く続けている社員に共通する特徴を聞いてみると、いくつか重なる言葉が出てきました。はきはきと話せること。やるべきことを後回しにしないこと。任されたことに責任を持てること。そして、ものづくりが好きなこと。気負わずに人と接していける人が伸びていきます。
キャリアの広がり方も、現場を任されることだけではありません。現場の経験を活かして、積算(工事にかかる費用や数量を算出する仕事)の担当に移った女性社員もいます。時短勤務で働き、子どもの急な体調不良のときはリモートで対応するなど、働き方を変えながら続けています。特別な資格がなくても挑戦できますが、簡単な仕事だとは言いません。覚えることも、責任を持つ場面もあります。だからこそ、ものづくりに関心があって自分から動ける人ほど力をつけていきます。
そうした人たちが口を揃えて話すのが、店舗が完成してオープンを迎える瞬間の手応えです。何もなかった空間に電気が灯り、ぴかぴかに仕上がる。社員に好きな場面を聞くと、言葉はそれぞれ違っても、たどり着く先は同じところでした。覚えることの多さや責任の重さの先に、その景色が待っています。
何もないスケルトン(内装をすべて取り除いた躯体だけの空間)が、電気の灯った店舗に変わっていく。その一軒に最初から最後まで立ち会えるのが、この仕事の面白さです。未経験から始めても、見て覚える時期、動かす時期、人を育てる時期と、任される範囲は一段ずつ広がっていきます。
それを支えるのは、困ったときに声をかけ合える距離の近さと、安心して働ける現場をつくろうとする姿勢です。本来の当たり前を、当たり前にする。引き渡しの日に工事を残さないことも、社員が落ち着いて働ける環境を整えることも、私たちにとっては同じ当たり前の延長にあります。
来てくれる人を点数で選びたいわけではありません。ものづくりが好きで、自分から動ける人と一緒に成長していけたら、それがいちばん嬉しいです。育つ順番は私たちが用意しているので、焦らず進んでいけます。
Q. 施工管理は、未経験から転職した人がどのように仕事を覚えますか。
最初は先輩について現場を覚えるところから始まり、部位や材料の名前、業者さんとのやり取りから入ります。自分の現場を任されるようになるのは3年目ごろで、独り立ちの目安は2年から5年です。ものづくりに関心があって自分から動ける人ほど、着実に伸びていきます。
Q. 店舗施工と住宅施工は何が違いますか。
大きな違いは、決まった型がないことです。飲食・物販・ブライダル・医療など業態ごとに求められるものが変わり、毎回違う条件で段取りを組みます。一軒ごとに考えることが多い分、完成したときの達成感も大きい仕事です。
Q. 名古屋以外の現場もありますか。
東海エリアが中心です。名古屋のほか、岡崎・豊橋・半田・岐阜・四日市の現場も手がけています。元請として、最初から最後まで一貫して管理しています。
Q. 施工管理の仕事に、資格は必要ですか。
入社の時点で資格がなくても始められます。現場で経験を積みながら、1級建築施工管理技士や2級建築士などの取得を目指せます。